もみじ☆あるき『もみじ☆あるき』本編に戻る

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転職完了♪

 エリニアに戻った私は何はさておき、ハインズ導師の下へ向かいました。

「ハインズ導師。無事に試練を終え、戻って参りました」

「おお、早かったな。おぬしの自己鍛練の賜ということか。さて、それでは儀式を執り行うこととしよう」

「おぬしはクレリック志望であったな」

「はい、導師」

「クレリックは信仰を持たねばならん。慈愛の精神を絶やさぬようにな」

「畏まりました。精進いたします」

「うむ。祝いにおぬしにひとつ力を授けようと思うが...」

「それについては導師、僭越ながらすでに心に決めております。マジックドレインにいたします」

「よかろう。これからも励むのぢゃぞ」

「ありがとうございます。それでは失礼いたします」

 こうして私は、晴れて聖職者の道を歩み始めました。

くら〜...

 

職人気質

 信仰か...信仰っていったい何なんでしょう?図書館で調べてみると「(1)経験や知識を超えた存在を信頼し、自己をゆだねる自覚的な態度をいう。(2)人を信じうやまうこと。」とありました。

 私が信頼して、自分を委ねられるものか...そうね、ではそれを探すことをこれからしなくてはいけませんね。

 あら、手袋の指先に穴が空いちゃってるわ?そういえばこのレモナ、私がハインズ導師に弟子入りした頃から使い続けてたわね☆

 靴はこの間露天で見つけたものに取り替えていたけど...手袋はまだだったわね。

 よし、聖職者に就いた記念にひとつ手袋をこしらえましょう♪たしかこのエリニアにはエトランという人がいて冒険者相手に武器や防具を仕立ててくれるって話を聞いたことがあるわ。彼がそうね、なんだか陰のある人ね。

「あなたが冒険者相手に商売をしているって聞いたんですが、私にもお願いできますか?」

「私はこの村の禁忌に手を出した日陰者だぞ。そんな私と取り引きしようと言うのか?」

「ええ。そうね。それは私の知らない過去のことだわ。ところで今の私が身につけられる手袋って無いかしら」

「そうか。まあ、いい。今のお前ならルティアなんかどうだ?ま、その穴の空いたレモナなんかより酷い手袋なんて無いだろうけどな。動物の皮にトパーズ、ガーネット、それと黒水晶を用意してこい。後は金だな」

「わかったわ。また来るわね」

 黒水晶か...トパーズとガーネットは原石があるから精製すれば何とかなるけど。ペリオンに行くついでだし、扱っている露店でも探してみましょう♪

 露店を探し回って、何とか黒水晶も原石を手に入れることができたわ。後はコレを精製すればいいのね。ペリオンには腕のいいサンダーさんって職人がいるって聞いてるけど...あ、彼ね。いかにも職人って感じだわ☆

「あのぉ、この原石を精製して欲しいんですけど」
「おう。任しときな。ほれっ」

 うわぁ、とっても綺麗☆
「サンダーさん。どうもありがとうございました♪」

「またいつでも持って来な。やってやるから」

「はいっ。その時はよろしくお願いしますね。じゃ」

魔女っ子3人娘

 

良質の手袋をありがとう

 ペリオンで、宝石の精製を終えた私は再びエリニアに戻ってきました。エトランさんのところへ向かう途中で可愛らしい女性を見かけました。

 彼女の名前は「あこるん」さん☆後ろ向きにかぶったバイザーとほっぺのハートペインティングがとっても可愛いです。そんな彼女と道ばたで談笑していたら、おしゃべりが気になったのか女性がひとり近づいてきました。

 彼女は「かごめちゃん」さん☆ほんの少し前の私とほぼ同じような格好の方でした。女性魔法使いばかり3人集まって楽しくおしゃべり♪とっても素敵な時間でした。

 楽しいお話を終えた私は、本来の目的を果たすためエトランさんのところへ。といってもエトランさんのいるすぐそばでお話ししていたのですけれど。かごめちゃんが私の手袋作成につきあってくれました。

「はい、エトランさん。お待たせしました、材料が揃ったので持ってきましたよ」

「おお、そうか。確かルティアだったよな。どれどれ...よし、それではさっそく作成に取りかかるとするか」

エトランさんが仕立ててくれている間、その傍らで待つ私とかごめちゃん。

「私も材料揃ったら作ろうかな?」とはかごめちゃん。

「あこるんさんも作りたいっていってましたね」

「でも、今の彼女だったらもう少し待った方が良いよね」

「そうですね。私も今まではレモナでしたし。そういえばかごめちゃんもそろそろ転職の試験ですね。頑張ってくださいね♪」

 新しい手袋は嵌め心地抜群☆エトランさんの腕が良いのは確かでしたね。お話ししてみると自分は日陰者だなんていってたけど悪い人では無さそうな感じでしたし。また何かあったらお願いすることにしましょう。

共闘

 

待望のLv.up♪

 信頼して、委ねられる存在か...今までに一緒にいてこの人になら全てを捧げられると感じた方には残念ながら出逢えていません。

  唯一近いと思える方を挙げるならばそれは魔女リノアさん。しかし、その考えに至ったときに私は理解してしまいました。それは憧れだったのだと。

 だから彼女を目標にすることはできても彼女に全てを捧げることはできないと思います。

 私が未熟で勘違いしていたのね、きっと。ハインズ導師のこの間のお話でようやっと気付くことができました。

 だから、これからも私の良き先輩であり、目標であって下さいね。魔女リノアさん☆なんて一方的かな?

 信仰を見つけるため、そして自分自身を磨くためにいろいろな世界を見聞しようと思います。そのための準備として、まずは自分のことは自分で何とかできるようになりたいです。具体的にはヒールを身につけること。

 そうと決めた私はエリニアの北の森のダンジョンに自己鍛練を兼ねて、キノコ調査に出かけました。

 ちょうど人気のない手頃なスポットを発見した私は、さっそく独り黙々と調査開始。どれくらいの時間が経った頃でしょうか。ダンジョンの入り口付近でもじもじしている戦士風の男性がいます。私はちょうど目があったときに微笑んでみました。

  彼、ペレレさんはどうやら私に鍛練の手助けをして欲しいようでした。私は上下の階層で手分けした方が調査の効率も良いだろうと考え、彼のお手伝いをすることに。残念ながらまだヒールで彼を癒すことができないので、手持ちの赤い薬をいくつか手渡しておきました。

 しばらく二人で共闘していると、ペレレさんがレベルアップしたようです。彼は武器と防具を新調するといっていったん街へ戻っていきました。彼は盾も使える片手用の斧にするべきか、それとも一撃の攻撃力重視の両手斧にするべきかで迷っているようでした。残念ながら私には戦士の戦闘の知識がないため、大して相談に乗ることもできませんでした。

 しばらくして戻ってきたペレレさんは両手用の斧を担いで戻ってきました。私もそろそろあがる頃だったのでペレレさんにお付き合いしてもらいました。程なくして無事レベルアップ☆

  いよいよ念願のヒールを身につけることができました♪これから見聞を広めるために、まずはカニングシティーを訪れてみようと思います。

いってきま〜す☆

 

困った妖精さん

 いったんエリニアに戻った私は旅の準備をするために薬屋さんへ立ち寄りました。

「お姉さん、こんにちは♪」

「あら、れむさん☆いらっしゃい」

「お姉さん、今日はお薬を下取りして欲しいんですが」
「あら、どうしたの?れむさんはうちのお得意さんだったのにぃ」

「いえ、私ついにヒールを身につけたんです。だから赤いお薬をこんなに持つ必要が無くなってしまったの。でもその分、青いお薬の方をお願いしますわ」

「なるほど♪良かったわね。れむさん」

「ありがとう。それで私少しの間、しばらくエリニアを離れて各地を見て回ろうと思ってるの」

「あらあら。それは羨ましいわね。私なんかこのお店あるから外に出るなんて考えられないわ」

「そうでしたね。では何かおみやげ持って帰りますね」

「行ってらっしゃ〜い☆」

 薬屋さんを出た私は、アルウェンという名の妖精さんに出会いました。彼女は何かとても困っている様子。

「この間、ペリオンに行く途中で全身を火に包まれた獣に襲われたの。その時に私のガラスの靴を落としちゃったみたいなの」

「あら、それはお気の毒に。災難でしたね」

「あれは私の本当に大事なものだったの。だから私、本当はニンゲンなんかとはお話もしたくないのだけど、あなたに助けてもらいたいの。私じゃ、取り返しにいってもまた襲われちゃうわ」

 この妖精さんは人間嫌いのようですね。それでも困っていることに変わりはありません。

「私で良かったら、探してきてあげますよ。炎を纏った獣が持っているガラスの靴ですね」

「ええ、お願いしたからね」

 ペリオン周辺の炎を纏った獣か...私はまだ遭ったこと無いわね。気に止めておくことにしましょう。

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