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帰り道で迷子になってしまい、魔女リノアさんに助けてもらった私、おっちょこちょいで嫌になっちゃいます。
「リノアさん、わざわざ送っていただいてどうもありがとうございました♪」
「私こそ、気付かなくってごめんなさいね。次の便は30分後ですね」
「謝らないでくださいな。私がドジだったんだから。リノアさんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
「では、道中お気をつけて」
「お〜い。乗り遅れたって〜?」
「あっ、ギャザンさん。ええ、迷子になってリノアさんに助けられてました」
「そっか。次までどうすんの?」
「のんびり待ちぼうけしてますよ」
「じゃぁ、気をつけて帰ってな」
「はいっ。ギャザンさんもわざわざ見送りに来てくれてどうもありがとうございました」
お二人とも、本当にいい人たち♪そうだ、最後に一緒に記念撮影してもらおうっと。
「リノアさん。ひとつだけお願いしても良いですか?」
「何?れむさん」
「あの、来るときに船の中で見せてもらったブレスをもう一度お願いしても良いかしら?記念撮影したいの」
「おやすい御用よ。じゃぁ、みんな笑顔で撮影しましょう」
「いいねぇ」
「では、いきますよぉ。せ〜の」
パチリ☆
「ありがとうございましたぁ〜♪」
なんだかお別れしたくなくなってきたけど、私はここで立ち止まるわけにはいきません。リノアさんと同じ聖職者になるんですもの。
「じゃぁ、この辺で失礼しますね。私」
「またどこかでお逢いしましょうね」
「まったねぇ〜」
「はいっ。どこかですれ違ったら声かけてくださいね♪」
こうして私は本当に帰路に就きました。
今度こそ、本当にエリニアに向けて出発です。チケットを買ってさっさと船に乗船。出港まではまだ少し時間があるようです。
その後、何人かの冒険者たちを乗せ、船はエリニアに向けて出航しました。
帰りの船はいたって静か。高レベルの方もいないようで、みんな船室でじっとしてます。
どうやら、ひとり旅の人が多いようです。グループは一組だけ。楽しそうにおしゃべりしていたようです。男性の魔法使いの方が外に出て見ようなんてグループの方を誘っていましたが、女性のクレリックの方に窘められていました。
そんな光景を見ているとちょっぴ羨ましくって、切なくなってきちゃいました。
私も早く一緒に旅ができる仲間を見つけようっと。まずは聖職者の適性試験が私を待ってます☆十分に鍛練を積んで万全の態勢で望まなくっちゃ。
独りでの帰りの船旅はお二人と行ったときよりも長く感じられ、少し疲れちゃいました。でも、へこたれてなんかいられません。せっかくお買い物してきたんですもの。早く身に着けられるようになりたいです。
エリニアに到着した私は、さっそく南の木のダンジョンへ。適性試験に向けての最後の自己鍛練です。籠もるつもりで青いお薬もたくさん用意してきました。
頑張って頑張ってひたすら角キノコと緑キノコを相手にしていきます。マジックガードのおかげで肉体への負担はあまりありません。その代わりに、精神的に弱ってへこたれそうになります。それでもあまり青いお薬に頼ることなく、無事に最後の調整を終了☆
さぁ、いよいよ聖職者になるための適性試験です。ハインズ導師の下へ急いで行くことにしましょう。
「ハインズ導師。ご無沙汰しております」
「うむ...おぬし、見違えるように成長したな。よくぞここまで鍛練した」
「はい、ありがとうございます。導師、本日ここに参りましたのは...」
「うむ、わかっておる。みなまで言わずとも良い。先に進もうというのぢゃな?」
「はい、ようやく自分の歩みたい道が見えて参りました」
「よろしい。それではこの文書を携え、北の森の教官を訪れなさい。そうすれば彼がおぬしに試練を与えてくれるだろう。無事に戻って来るのぢゃぞ」
「ありがとうございます、導師。それでは行って参ります」
こうして私は、聖職者になるための試練を受けるため、北の森に向かいました。それにしても北の森には幾度と無く調査と自己鍛練のために足を運んだはずなのですが、教官なんていたのでしょうか?
指導教官を捜して北の森を登ってゆく私。最上層で彼を見つけました。さすがに今までここまで登ってきたことはありませんでした。
「教官。ハインズ導師よりコレを託されて参りました」
「ほほぅ。お前が試練を受けるのか」
「はい。よろしくお願いいたします」
「試練は簡単だ。これから私がお前を試練の場へと転送するから、お前はそこにいるモンスターたちを倒し『黒い玉』を集めてくるのだ」
「わかりました」
「ちなみにその玉は醜く汚い想念が凝固したものである。強い心を持って試練に望め。油断するでないぞ」
「ご忠告、ありがとうございます」
「準備はよいかな?それでは試練をはじめよう」
空間転移で飛ばされたその先で、私の聖職者になるための試練が開始されました。
「黒い玉が集まったら再び私のもとへ来るがいい」
どうやらここは巨大なキノコの森のようです。そこで私を待ちかまえていたのは角キノコでした。
なんだ、コレなら問題なく試練をクリアできそうね。さあ、おとなしく私に玉を渡しなさい。
おかしいわ?いつもならマジッククロー一撃で倒せるのに...普段相手にしているのとは違うってことね。見た目が同じだから油断していたわ。教官に言われていたというのに。
気を引き締め直して下層に降りて行くことに。緑色のトカゲらしい生物が...いや、よく観察してみると足が2本しかないわ。それに何よりおぞましいのは隻眼、ひとつしかないその目で私を睨みつけています。これまでに私が対峙したことはありません。集団で私に飛びかかってきて喰らいついてきます。
マジックガードで急激に消耗する私の精神力。攻撃力も半端ではないようです。なるべく集団にさせないよう、動き回って一体ずつ確実に屠ってゆきました。
緑の異形を倒すのと同時に周囲にも気を配り、黒い玉を回収します。どれくらい、戦闘を繰り返したでしょうか。必要な数の玉が集まったようです。幸い、青い薬はあまり消費せずにすみました。
「教官、お待たせいたしました。確認をお願いいたします」
「おお、集めてきたか。よし、よくやった。試練修了の証をお前にやろう。この証を持ってハインズ様の下へ戻るがよい」
「ありがとうございます、教官。では、私はこれで失礼します」
「うむ。早くエリニアに戻るがよい」
やったわ。無事に試練をクリアすることができました。さあ、早くハインズ導師の下へ向かわなくては。
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