

妖怪とは怪異を説明するための装置だそうです。不可思議なことをそのまま放っておくことで齎される不安や恐怖をコントロールする為に、その事象に名前を与えて取り敢えず解ったような気になる為のモノなのです。
「朋萌」ちゃんが探していた書籍は、武陵の街の道端で囲碁を嗜む道工さんが依頼をしていたようです。仙術を授けてやるなどという胡散臭いもの言いに踊らされているようにしか見えないのですが...
依頼されたものをすべて集めてきた彼女、それらを道工さんに託して話し合いをしているようですが、だんだんと声が大きくなってきました。やはり、そうそう美味しい話など転がっていないということでしょうか。

仙術を授けてもらえると誑かされた「朋萌」ちゃんでしたが、健気な彼女はそれでも彼ら土地の人たちを見捨てることが出来なかったようです。
今回彼女が依頼されたお仕事は畑の見回りだそうです。やってきたのは武陵の果樹園を越えた先にある湿地帯。ここの桔梗畑が何者かによって荒らされているのを監視するのがお仕事の内容です。
二人で畑を巡回していると、桔梗たちが自ら散歩しはじめました。この散歩中の桔梗を狙っている盗賊団があるそうなので、おとなしく地面の中に帰っていただきます。仕事を終えて土であちこち汚れてしまったので、報告に立ち寄った村で勝手にお風呂に入ってきました。

人が自分独りきりで生き抜いてゆくことはなかなか出来ることではありません。街の人との接触が殆んどない私でさえ、不用品を処分するために雑貨屋さんだけは利用しているのですから。
私もこの世界にやってきて暫くのうちは積極的に街の人との交流をしようと努力していました。しかし、自分勝手な物言いであちこち振り回され、その活動に見合わないような報酬にいつしかうんざりするようになりました。
冒険者生活など、本来は街の人たちの支援がなければ続けられるものではありません。おつかいだって立派なお仕事だとわかってはいるのですが...街の人の為に働く誰かをお手伝いするのは大好きなんですけどね。

目標もなく、独り漠然と鍛練をしていると、「OoコリスoO」ちゃんが遊びに来てくれました。みんなから愛されて個性的な姿になった彼女、自分ではその姿をどう思っているのでしょうか。
頭に被った改造ギルティアンはハインズ様を虚仮にしているとしか思えませんし、背中のランドセルからはびかびかと眩しいレーザービームを発しています。
アピール度満点のコリスちゃんですが、それが迷惑というわけではありません。私がその恰好をすることは決してありえませんが、チャーミングな彼女のウィンクを見ると、あぁ、彼女なら有りかなと思えるところが不思議です。また一緒に遊んでくださいね。

ここ数日、この世界全体に不穏な空気が漂っている気がします。巷の噂では誘拐が流行っていて、知らない人の前で商店を利用してはいけないなどと言われているそうです。
人の噂には尾鰭がつきやすいものですが、便乗して在る事無い事を吹聴する輩も居るようです。その一方で、この誘拐事件は本人が自ら合鍵を渡していたとか、狂言だったという噂も流れ始めています。当局も否定していることから、無差別誘拐というのはやはり単なる噂話だったようです。
噂を恐れて外出を自粛している方も多いようで、普段は混雑している場所も閑散としていました。
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