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「ドクター。チョリさん、フニさん、ガニさんの3名に設計図を確認してもらってきました」
「ご苦労だったな。反応は上々だったろう?では私はさっそくコイツの製造に着手するか。君、これは少ないが今回の謝礼だ、取っておきたまえ」
「別にそんなつもりでしたのではないのですが...わかりました、ありがたく頂戴いたします」
 コリンさんの件もあるので、早々に辞去しようとしたところをドクターに呼び止められました。
「待ちたまえ。君は確か、ルディブリアムに戻るんだったな? ならば、もうひとつ頼まれてくれんかな...」
「ドクター、私は今事件をひとつ抱えているのです。それが解決してからでもよろしければ、お引き受けしても良いのですが...」
「私はそれでも構わんよ。ルディブリアムに発注してある部品があるのだが回収してきてくれたまえ。なに、使うのはまだ当分先の工程で、急いではおらんから」
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 ロスウェル草原をうろうろしている間に、コリンさんの記憶の破片と思われるものをいくつか回収することができました。

「黒服さん。これでいいのかしら?記憶の欠片って」
「...あぁ、それをこちらへよこしな。断片じゃ可哀想だから繋いでやるよ」
「ありがとう。えっと、なんてお呼びしたらいいのかしら?」
「...俺たちエージェントに名前なんて必要ない。そんなもの、足がつくだけだしな。どうしてもって言うなら『M』と」
「Mさんですね。コリンさんのためにありがとうございます」
「礼には及ばないさ。それにしてもそんな記憶、取り戻したってどうなるものとも思え無いがな。知らなければ良かったと思うことだってあるかもしれないし...」
「それでも、彼女の望んだことですから。失われた記憶を取り戻して、時間が連続するだけでも安心するのでは?」
「はっ、時間と記憶が連続しているだって?確かに時間は流れ続けちゃいるが、記憶に関しちゃそんなこと無いと思うぜ。例えば、寝ている時間はどう説明するんだ?寝ている間の記憶なんてものがあるのかい?今回、彼女は10ヶ月という時間を寝ていただけさ。そして、君が手にしている彼女の記憶だと思ってるものは実は彼女の見ていた夢なのさ。その方がきっとショックが少ない」
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 知らない方が、思い出さない方が良い記憶...そんなものもあるのでしょうか。

「れ〜むたん☆お話しは終わったかい?」
「あら、伯爵様。いつの間に...って、どうされたんですか?ばっさりと。随分思い切ってカットしたのですね」
「あぁ、これ?ルディブリアムで最近流行ってるんだって♪帽子かぶりやすくなったし、何よりも頭軽くなったかな」
「黒髪にとてもお似合いですよ♪可愛らしいですし」
「ありがとっ☆あれ?れむたん、髪傷んできてない?」
「あらら、気付かれてしまいましたか...最近ちょっとお手入れ怠り気味でして」
 他愛ないお話しをしたあと、男爵様は颯爽と去っていきました。さぁ、私もコリンさんのところへ急ぎましょう。
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「コリンさん。お待たせしてしまい申し訳ありませんでした」
「あ、戻ってきてくれたのね。私もう、不安で不安で...黒いスーツの男、見つかりました?」
「えぇ、まぁ...」

 エージェント、Mさんとの荒唐無稽なやりとりをお伝えしましたが、彼女、やはり信じられない様子です。
「...そんな...私が外界人に10ヶ月も拉致されていたですって?突然そんなお話しされて信じられるわけないでしょう?第一、外界人だなんているわけないですし」
「コリンさん。どうか落ち着いてください。実はここに貴女の記憶を持ってきました」
「その手に持っているものが?ますます信じられないわ。ところで、あなたはそれを見たの?」
「まさか、プライバシーに関わることですし。でも、その男性が言うにはこんなものは見ない方が良いって...」
「そうですか...あなたはどう思う?」
「残念ながら私には判断できません。実は私もある時期から前の記憶がないのです。冒険者なんて生活をしているのも、いつか家族や家を見つけられるかも、と思ったからですし...でも、今ではこのままでも良いかなぁって。還るお家が見つかったところで冒険者辞めるつもりもありませんしね。だから、今こうして生活している貴女にアドバイスできる言葉を持っていないのです」
「...そう...あなたも大変なのね。結局、自分のことは自分で決めるしかないのね、正直言って怖いわ」
「...でしょうね。心中お察しいたします。では、私はこの辺で失礼しますね。コリンさん、お気を確かにね」
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 コリンさんのお家を出てきたところをネミさんに見つかってしまいました。心配そうな顔をしています。
「彼女、大丈夫よね?」
「私にできることは全てしたつもりです。冷たいかもしれないけれど、あとは彼女次第ですね。ネミさん。コリンさんのこと少し気に掛けていていただけませんか?」
「ええ、そうするつもりです。ご近所ですしね」
「ありがとうございます。では、私は工場へ用事がありますのでこの辺で失礼しますね」
「あら、ちょうど良かったわ☆私もこれから出ないといけないのですが、父がお弁当を忘れて行ってしまって...」
「良いですよ♪私がお届けしてあげますよ」

「工場長、娘さんからお弁当を預かって参りました」
「やぁ、ありがとう。最近忙しくってね。今日はお昼抜きを覚悟していたところだよ。ところでお嬢さん、見たところ冒険者のようだけどエオス塔へ行ってくれないかな?」
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