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「雪原って、エルナスですよね?」
「他にどこがあるってのさ」
「どこで失くしたのか覚えてらっしゃらないのですか?」
「いちいちうるさいねぇ。覚えてたら自分で行くよ。それともやめるかい?」
「いっ、いえ、行ってきます...」
 はぁ、捜索範囲広いですねぇ。でも探すしかないか...薄暗いスピルナさんのところを離れた私は当てもなくエルナスへ向かいました。

 エルナス地方には寒さから身を守るために分厚い毛皮に包まれているせいか、あるいは生命力が強いのか知りませんが非力な私では遠慮したくなる相手が多いです。
 極力相手を刺激しないように、こそこそと周辺を探索しましたが冷気の平原でも、凍てつく野原でもスピルナさんの黒水晶は見つかりませんでした。雪原って、別に平地のことではないのかしら?
  念のために氷の谷を探索し始めましたが、雪に覆われた岩の陰で何か煌めくものが...何かしら?クリスタルの原石?よく調べてみるとそれは黒水晶でした。よかったぁ、これがスピルナさんの失くした水晶ですね。あら?でもこの黒水晶、欠けてるみたいですね...
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 重い足取りで雲の公園まで戻ってきました...スピルナさん、私が壊したんじゃないって信じてくれるかしら?

「あら、あんた。思ったより早かったわね。見つかったから戻ってきたんでしょ?さぁ、早く返しなさいよ、私の黒水晶を!」
「スピルナさん、これでしょうか?で、これなんですが発見したときすでに...」
「何よこれ?欠けちゃってるじゃないの!どうすんのよ、あんた!これが無くちゃ研究が進まないじゃないのよ!」

(そ、そんなぁ...そもそも無くしたのはスピルナさんのせいではないですか)
「ねぇ、今のスピルナ様には逆らわない方がいいわよ。何を言っても無駄なんだから。あの水晶さえ直れば怒りも収まると思うけど」
 いきなり暗がりから囁かれたのでびっくり。
「あなたは確か、スピルナさんの助手の方ね?」
「私のことなんかどうでもいいわ。それよりもスピルナ様のご機嫌を治すことを最優先させることね。そうね、妖精の粉を手に入れなさいな。オルビスの雑貨屋にクリエルという妖精がいるわ」
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 どうして私はこんなに行ったり来たりしているのかしら。あぁ、そうでした。アルケスタさんに頼まれて古代の本を探していたのでした。でも、本の手がかりなんて1つも見つかっていないですね...

 え〜っと次は、オルビスの雑貨屋さんにいる妖精のクリエルさんでしたか...エリニアの妖精たちも人間には好意を持っていないようでしたが、オシリア大陸の妖精たちはどうなんでしょう?
「あなたがクリエルさんね?」
「また人間?何か用?」
 あらら、やはりこの地でも妖精と人間の関係はあまりうまく行っていないようです。
「実は、スピルナさんの黒水晶が壊れてしまいました。それで、助手さんからあなたから妖精の粉をわけてもらってくるように言われてきたのです」
「そう。あいつにはこの間世話になったし、今回だけは特別よ。だけど、あの粉は貴重品だから只ってわけにも行かないわね」
 うっ、イヤな予感が...
「ちょうど魔法道具を作りたかったところだからフィクシたちの欠片を集めてきて。そしたらわけてあげるわ」
 やっぱり...仕方ない、雲の公園に行きますか...
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 クリエルさんに集めてくるように言われたのは、星の欠片100個、月の欠片50個、太陽の欠片30個でした。

 さっそく雲の公園で星の欠片から集め始めました。サテライトでその様子を聞いていた「龍鴈」さんがお手伝いに来てくださいました。
 私たち魔法使いは、魔法耐性の高いサンフィクシはあまり得意ではありません。そうしたら「中前」さんが太陽の欠片をたくさん持って駆けつけてくれました☆「聖騎士レイン」さんもご一緒だったので、残りはあっというまでした♪

 さっそくそれを持ってクリエルさんのもとへ。
「お待たせしました、クリエルさん。ご注文の品です」
「あら、もう全部集めてきたの?結構やるわね。あいつも人を見る目があるのかな?まぁ、約束だしね。はい、これが妖精の粉よ。大事なものだから無くしてももうあげられないからね」
「ありがとう。これでスピルナさんの水晶も直せるのね」
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「何よ、この期に及んでまだ顔出すの?」
「はい、私の誠意を示そうと思いまして...これを」
「あら、これは妖精の粉じゃないのさ。これであたしの大事な水晶を直せるわ。ご苦労だったわね、それじゃあたしも今までのこと水に流してあげるわ」
「では、ヘラーさんについて教えていただけますか?」
「そうね、あれは3ヶ月も前だったかしら?殺された母の敵を討ちたいから助手にしてくれってやってきたのは。直接本人に聞いてみれば?」

「ふぅ、これ以上は隠し通せそうにありませんね」
「では、あなたがヘラーさんでしたのね?ちょうど良かった、古代の本について何か知りませんか?」
「あなたはどうして古代の本のことを知っているの?」
「はい。私は、アルケスタさんからその本を探すように依頼されているのです。その最初の手がかりはどうやらあなただったということになりますね」
「あら、アルケスタ様までご存知でしたか。スピルナ様に弟子入りし、修練は積んでいますが私にはその本の力を受け入れるのは無理のようなのです。本もまだ見つかっていませんし...わかりました、あなたならその本を見つけてくれそうですね」
「ええ。努力します」
「数年前に、家で見かけた古い日記には古代の本は雪原の深い谷で失われたという記述を発見しました。ゼイドなら力になってくれるかも知れません。彼はこの大陸のことをよく研究していますから。このペンダントを彼に渡して私が無事だということを伝えてください。そうすれば彼も安心してあなたに協力してくれるはずです」

「すべてを話してくれてどうもありがとう。ヘラーさんのためにも必ず古代の本を見つけてきますね。スピルナ様、ご協力感謝いたします」
「そうだ、これ持っていきな。水晶の礼だよ」
 スピルナ様が立ち去ろうとした私に無造作に書を放ってきました。気難しい方でしたが、悪い人ではなかったんですね☆

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