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 異界に通じる扉ですね...M.S.G.の撮影で各地を回ったときに、エリニアにある扉の場所は確認済みです。
 悪意の魔女が飛び回る邪気の森に到着すると、私の記憶通りに空中に真っ暗な穴がぽっかり浮かんでいます。

 異形の像が掲げるたいまつの明かりを頼りに通路を奥に進むと開けた場所にでてきました。
 足下を覗いてみると、そこには白い人影が佇んでいました。恐る恐る降りて近づいてみると、姿がはっきりしてきました。真っ白なローブに、真っ白なギルティアン帽、そして豊かにたくわえられた真っ白な髭。どこから見てもハインズ導師です。
 そのお顔に表情は伺えませんでした。まるっきりの能面です。こちらから手出しをするのは憚られましたが、ハインズ導師との言葉が頭を過ぎりました。長時間に渡る滞在は出来ないということです。そして、目の前のそれはハインズ導師の形をした別のものであるということを。

 意を決して、マジッククローで仕掛けてみます。するとそれはようやく私という侵入者の存在に気付いたかのようにゆるゆると呪文の詠唱を始めました。厭な予感がした私は、後ろに飛び退きます。寸前、私の立っていた場所には巨大な火の玉が...これが上級呪文なのですね。
 距離をとっての魔法合戦となりました。相手の呪文の詠唱が終わるまでに小さな呪文を唱えて範囲から逃れる作業を繰り返します。時折飛んでくる封呪の呪文には文字通り閉口させられました。
 瞬間、相手の動きが止まりました。終わったかと気を抜こうとした途端、2体のタウロマシスが...よもや召還呪文まで使ってくるとは。

 私の甘さからくる隙をつくような出来事にショックを覚えながら目の前のそれがハインズ導師ではないことを再確認し、牛には目もくれず本体にのみ集中しました。
 本体が動かなくなったのを確認してから牛を片づけ、全てが終わったときにはそれの姿はなくなっていました。それの最期の場所には黒い符が落ちていました。
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 試練で傷ついた身体を癒しの力で快復させてからハインズ導師の待つエリニアに戻りました。

「まったく、油断しおって。無事に戻って来られたからよかったようなものを」
「知って...おられたのですね」
「あたりまえじゃ。あれは儂と繋がっておるからの。おぬしが躊躇したが為に、大事な仲間を危険晒したらどうするつもりじゃ」
「導師の仰るとおりです。反省しております」
「力ばかり強くなったところで、中身がついて来ないのではどうしようもないわい。いくらおぬしが聖職者とはいえ、斯様な世の中じゃ。全ての生命を救おうなどとは想わぬことじゃな。愛する者のために時には無慈悲となれる覚悟も忘れずにな。ほれ、この強靭のネックレスを持ってロベイラ様のところへ行くのじゃ」
 導師の言葉を胸に刻みつけ、決意も新たに私はエリニアをあとにしました。
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「ロベイラ様。ただいま戻りました」
「ハインズの試練は無事に終えたようですね。よろしい、それではネックレスをこちらに」

 ハインズ導師より託されたネックレスを手渡しました。
「確かに強靭のネックレスですね。これで残すはそなたの知識を証明するのみとなりました。このオシリアのどこかに聖なる地があります。そこであるものを捧げなさい」
「どこかに...なにかを...」
「どうしました、早く行きなさい。それとも試練はここで終わりにしますか?」

 そうか、もう試練は始まっているということですね。場所に関する知識、捧げものに関する知識...私のもてる全ての知識でこの謎を解いてみましょう。
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 とはいえ、そのどちらに関してもおおよその目星はついています。先ずは場所、M.S.G.の撮影旅行で各地を回ったときに立ち寄っているはずです。そしてモノ、こちらは諸先輩方が試練の前に探していたアレのことでしょう。

 険しき絶壁を登り切った辺りから伸びる一本の小径。下っていくと文字を刻みつけた石群が広がっています。凛とした空気が張りつめるその中、ひときわ大きく、黒光りする岩が屹立しています。

 魔物のみならず、全てのもののの侵入を拒むような結界とも思える空気は、どうやらその黒い岩を中心に広がっているようです。
 岩に近づいてゆくと、黒い岩が光を帯びたように見えました。それと同時に私の手の中にある闇のクリスタルも光を放っています。やはり、これが捧げもので正解のようですね。

(汝は我の試練を望むものか?)
「えっ?」
 周囲に私以外の生命の息吹は感じられません。
(試練を望むならば闇のクリスタルを我に翳すがよい)
 どうやら、声の主は目の前のこの岩のようです。思念(?)が直接私の頭に響いてきているようです。私はクリスタルを目の前に翳しました。
(よかろう。我の問いに答えよ)

 岩の思念は私に聞こえますが、私の思ったことが岩に伝わっているのか不安だったので解答は全てはっきりと声に出して答えました。
  いくつかの質問に答えると岩は沈黙してしまいました。質問の内容はいままでの私が体験してきたことの中に簡単に答えを見いだすことができました。間違っているはずは無いので、不安になることはありませんでした。
(汝の証明はなされた。これを授けよう)
 ようやく岩の声がしたと思ったら、目の前にはネックレスが浮かんでいました。
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「早かったですね。では、ネックレスをこちらへ」
 ロベイラ様に知識のネックレスを手渡しました。強靭のネックレスと、知識のネックレス、ロベイラ様は2つの品に秘められた力を開放して行きます。
「これでいいでしょう。今から貴女はプリーストとしての道を歩むことになります。よりいっそう励みなさい」
「畏まりました」

 晴れてプリーストに就くことができました。ロベイラ様の取り計らいで、神聖魔法のシャイニングレイを授かりました。聖職者として破壊の力を求めることは間違っていることなのかも知れませんが、ハインズ導師の仰るように愛すべき、守るべき人たちのためにこの新たなる力を役立てようと思います。
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